開講年度2016
科目名古典文学研究Ⅰ
(全)開講学科日本文化学科 2013年度以降入学
日本文化学科 2004-2012年度入学
開講種別春学期
対象学年3年
担当者川名 淳子
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス


サブタイトル
『紫式部日記』を読む
科目のねらい
 平安時代に成立した『紫式部日記』は、一条天皇の中宮彰子(藤原道長の娘)に仕えた女房、通称〈紫式部〉が見聞した、当時の宮廷社会の記録である。そこには『源氏物語』の作者の複雑な精神世界や紫式部特有の人間観察も叙述されていて興味が尽きない作品である。
 授業では、作品を精読すると共に、鎌倉時代の初めに制作された「紫式部日記絵巻」の鑑賞もあわせて行う。
 日記文学に描かれた人物たちの内面を見つめ、読者としての感性を養いつつ、この古典文学がなぜ、現代の私たちの心にも響くのかを考えてゆく。
到達目標
 『紫式部日記』や『源氏物語』が生まれ出た経緯や時代背景、王朝人の暮らしや美意識、後の時代の人々の作品享受のありようなどを視野に入れながら、以下の事柄を目標としていく。
・作品の本文を読み解くためのことばや古典の基礎知識を習得する。
・作品を読み味わうことの楽しみや意義を感じつつ、自らの意見や感想を文章としてまとめる。
・作品に描出された人々の心の襞(ひだ)を見つめ、読者としての感性を養う。
・古典文学への視野を広める。
授業の内容・
計画
 「古典文学研究I・II」では、以下の内容を順次取り上げてゆく。Ⅰ→Ⅱと通年で履修することが望ましい。
 1から25の項目は、1回の授業に統合する場合もあるし、また2回以上にわたって、読解、考察を続ける場合もある。
1,紫式部日記が成立した時代背景
2,藤原道長の時代―摂関政治の構造
3,帝・中宮という存在
4,「女房」について―その役割・出自・境遇など
5,〈紫式部〉という人―その家系・生涯
6,紫式部と紫式部日記の関係
7,紫式部日記の不思議―作品の構造と伝承
8,紫式部日記の冒頭表現について
9,皇子誕生の記①―日記執筆の要請
10,皇子誕生の記②―産養について
11,皇子誕生の記③―華やかな催しの中で
12,慶事の記録と憂愁叙述―紫式部の憂鬱
13,精神の二重構造―紫式部の処世術と厭世観
14,消息文(手紙)的文章①―紫式部の批評精神
15,消息文的文章―②女房批評
16,紫式部と清少納言①―その対照的人物像
17,紫式部と清少納言②―紫式部日記と枕草子
18,紫式部の思考と感慨
19,出家と救済―紫式部の仏教観
20,紫式部日記と源氏物語①―物語執筆の経緯
21,紫式部日記と源氏物語②―物語の作者として
22,紫式部日記絵巻について①―日記の絵画化
23,紫式部日記絵巻について②―日記の享受、王朝世界への憧れ
24,紫式部日記と同時代作品―栄華物語との相関
25,総括
評価方法
(基準等)
平常点(授業への参加度・学期中の課題提出)を40%、
学年末レポートを60%、を基準とし、総合的に評価する。
授業外の学修
(予習・復習)
[予習]…『ビギナーズクラシックス紫式部日記』の本文と解説文をよく読んでおく。注釈書や現代語訳を利用しながら、『源氏物語』や『紫式部日記』の内容で、自分が特に関心を持った部分を通読し、作品世界に親しむ。
[復習]…授業で配布した資料を再読し、作品への理解を深める。関連する文献を通して、時代背景や人物関係などを確認する。
教科書・
参考書
教科書:『ビギナーズクラシックス紫式部日記』(角川ソフィア文庫・821円)
授業時にプリントも配布する。
参考文献は適宜、授業時に提示する。
参照URL
質疑応答
毎授業時の質問等については、授業時間内及び授業終了時に対応する。
またオフィスアワーに川名研究室(3号館4階)にて、個別にも対応する。
備考
配布資料が多くなるので、各自、本授業専用のファイルを用意すること。
画像
ファイル
更新日付2016/02/14 22:20:48