サブタイトル | | |
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科目のねらい | | 英語圏社会の文化(南アジア、特にインド)について理解をふかめ、さらにそれぞれの文化的事象の背景を深く理解できる幅広い視野を涵養することを目的としている。「ヒンドゥー教」はインドを覆う天蓋のごときもので、単に宗教的事象にだけでなく、社会制度、文化伝統、生活様式に至るまであらゆるものを包摂する一つの文化体系を意味する。それが歴史的にも地域的にも多様に展開しながら「ヒンドゥーの文化世界」を形成しているのである。多様な事象から何かまとまったものを見出していく作業は、グローバルな視点の涵養のために格好の教材となるであろう。 |
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到達目標 | | 知識 受講することによってインドの文化と社会に関する理解が深まる。詳細は下記シラバスの項参照のこと。 技能 復習あるいはレポート作成に際し、参考文献だけでなくICTを通じて多様な情報を収集できるようになる。そして採用する情報について必ず典拠を示す習慣をつけてモラルに従った論文を作成することができるようになる。 態度 確実に授業参加することにより自らを律することができるようになる。 |
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授業の内容・ 計画 | | 第1回 授業ガイダンス:授業方法の説明(プリント資料・スライド資料・映像(DVD)資料併用の講義)およびシラバスの確認 第2回「発展するインド経済」(1):1990年代以降IT産業を起爆剤として、BRICsの一翼として経済発展を遂げてきた、その経緯をみていく。 第3回「発展するインド経済」(2):現在の問題点とその克服への方途および日本との緊密な経済協力関係を明らかにする。2回の講義を通じて、インド経済の発展の経緯と将来への展望を理解することができる。 第4回「結婚・今と昔」(1):占星術、求婚広告、カースト内婚、花嫁持参財(ダウリー)など、インド式結婚には話題が尽きない。インド式見合い結婚のプロセスを理解することができる。 第5回「結婚・今と昔」(2):第4回講義の続き。2回の講義を通じて『マヌ法典』以来の伝統的社会慣習また考え方が残っていることを理解することができる。 第6回「差別の代名詞・カースト」(1):古代のヴァルナ制からヴァルナ・ジャーティ制へと変質していき、カースト制が成立したことを歴史的に解説する。カースト制はジャーティ制の①内婚集団であり、②職業の世襲、③上下のランキング、④地域性があるという特徴をうけたもので、カーストの数は3000とも4000ともいわれる数になっている。カースト撤廃運動の歴史を概観し、そのなかに共和国憲法第15条の「カーストの理由のみによる差別の禁止」を位置づける。 第7回「差別の代名詞・カースト」(2):第6回講義の続き。 第8回「差別の代名詞・カースト」(3):第7回講義の続き。3回の講義を通じて、インドのカースト制を歴史的にまた社会的に理解することができる。 第9回「『マヌ法典』の意義」:古代の社会的規範を定めた書だが、上述のカースト差別、あるいは現代にまで続く女性差別の淵源である。四住期、通過儀礼などヒンドゥー教徒の社会生活上重要な事象もやはりこの書に依る。『マヌ法典』がヒンドゥー教徒の社会生活に与えた多大な影響を理解できる。 第10回「神々と饗宴する文化と社会」(1):ヒンドゥーの神々とヒンドゥー教徒の饗宴は、祭り、聖地などで繰り広げられ、舞踊、文学作品などの主要テーマとなっている。2大信仰体系の主神であるシヴァ神とヴィシュヌ神および社会文化に影響の大きいクリシュナ神とラーマ神について知見を深める。[1年次の「文化入門」講義のテーマ「ヒンドゥーの神々」で扱ったので、全体をおさえながら未解説の事象に焦点を当てることになる] 第11回「神々と饗宴する文化と社会」(2):第10回講義の続き。また、ヒンドゥーの神々を次回に取り上げるブラフマン観との思想的連関のうえで考えてみる。 第12回「ウパニシャッド精神でたどるヒンドゥー教史」:ウパニシャッドにおいて確立した業・輪廻(カルマ・サンサーラ)の観念およびブラフマンの観念[仏教では涅槃、空に相当する]がヒンドゥーの世界観に通底していることを理解する。 第13回「ヨーガでたどるヒンドゥー教史」:インダス文明発祥のヨーガは古代には瞑想修行法であった。後に瞑想のヨーガのほかに身心のヨーガであるハタヨーガが興った。後者は現在では、アーユルヴェーダとならぶ生命科学として注目されている。宗教史的には救済手段としてヨーガ(瞑想)のほかにバクティ運動のなかではバクティ、タントリズムにおいてはサーダナへと展開していった。また、仏教にも重要な影響を与えた。 第14回「ヒンドゥー教の宗教文化の世界」(1):ヒンドゥー教文化は大伝統(知的エリートによって伝承されてきた文化伝統)と小伝統(地方村落レベルで伝えられてきた生活文化の伝統)が織りなす複合文化状況にある。文化接触パタンのなかで、東インド・ベンガル地方に見られるカーリー女神信仰はドゥルガー女神(シヴァ神妃)と同一視されることによって大伝統の中に吸収されていった例である。ヒンドゥー教を理解するうえで大伝統・小伝統は有効な軸であることが理解できる。 第15回「ヒンドゥー教の宗教文化の世界」(2):カーリー女神を崇敬するラーマクリシュナは近代ヒンドゥー・ルネサンス期にでた宗教者である。瞑想・バクティ・サーダナを体現し[第13回講義参照]、クリシュナ・シヴァ等ヒンドゥーの神、イエス・キリスト、ムハンマド、ブッダ等すべての神はブラフマンの顕れとし[第11~12回講義参照]、諸宗教を統合する立場をとった。そして、直弟子ヴィヴェーカーナンダはシカゴ世界宗教会議(1893年)で一連の講演を行い、「宗教は一つ」を説いた。ヒンドゥー教が普遍性をもった宗教として世界に認知されることになったのである。 |
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評価方法 (基準等) | | 授業への取り組み 30% 課題レポート 30% レポート試験 40% |
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授業外の学修 (予習・復習) | | 配布プリント・作業シート・講義ノート・参考文献・ICTを利用して講義内容をまとめておくこと。 その際、講義の連続性、連関性について特記しておき、次回講義へ準備とすること。 |
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教科書・ 参考書 | | 教科書 なし 参考文献 立川武蔵 『ヒンドゥー教の歴史』 世界の宗教史2 山川出版社 2014 C. シャタック 『ヒンドゥー教』 日野紹運訳 春秋社 2005 「世界諸宗教の道 第2巻 ヒンドゥー教 一体への道」(DVD) 丸善 2004 その他、適宜紹介していく。 |
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参照URL | | |
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質疑応答 | | (月)~(木) 09:30~18:00 随時、研究室<3536> にて。 不在時来室を避けるため、事前に090-4253-2896 または hinos@dpc.agu.ac.jp に連絡ください。 |
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備考 | | |
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更新日付 | | 2016/02/17 21:18:27 |