開講年度2015
科目名地域文化研究Ⅴb
(全)開講学科国際文化学科 2013-2014年度入学
国際文化学科 2011-2012年度入学
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者日野 紹運
単位数2
曜日・時限秋学期 月曜日 2時限
キャンパス


サブタイトル
マハートマー・ガンディーの人類への貢献
科目のねらい
英語圏社会の文化(南アジア、特にインド)について理解をふかめ、さらにそれぞれの文化的事象の背景を深く理解できる幅広い視野を涵養することを目的としている。本講義では非暴力・不服従運動で知られるマハートマー・ガンディーを取り上げる。20世紀にもっとも人類に貢献した人物の一人である。インドの伝統文化を体現し、その生涯の活動はほとんどインド国内におけるものであったが、その思想運動が普遍性をもったものであったので、その影響は世界に広がり、また時代を超えて受け継がれていくものとなった。
到達目標
知識
受講することによってマハートマー・ガンディーに関する理解が深まる。詳細は下記シラバスの項参照のこと。
技能
復習あるいはレポート作成に際し、参考文献だけでなくICTを通じて多様な情報を収集できるようになる。そして採用する情報について必ず典拠を示す習慣をつけてモラルに従ったレポートを作成することができるようになる。
態度
確実に授業参加することにより自らを律することができるようになる。
授業の内容・
計画
第1回 授業ガイダンス:授業方法の説明(プリント資料・スライド資料・映像(DVD)資料併用の講義)およびシラバスの確認
第2回「ガンディーの生涯」(1): 5大事件すなわち①南アフリカでの差別体験(24歳)、②反ローラット法のハルタール(50歳)、③スワデーシ運動(51歳~)、④塩の行進(61歳)および⑤カルカッタの奇跡(78歳)を中心に生涯をたどる。
第3回「ガンディーの生涯」(2):第2回講義の続き。2回の講義を通じて5大事件それぞれの意義を理解することができる。
第4回「思想運動としてのサッティヤーグラハ」(1):「真理実現運動」(サッティヤーグラハ)の体系について学ぶ。「真理は実現すべし」の理念はアヒンサー(不殺生の思想)、ブラフマチャリヤ(禁欲の思想)およびチャルカー(チャルカーの思想)の3つの思想で構成されている。そのうちここではガンディーにとっての真理(サッティヤ)について解説する。与えられた生命(すなわち人間)は社会的存在である。従って社会の中でその生命を十全に輝かせること、すなわち人間のあるべき姿・状態を実現することこそ真理の実現である。そしてその真理実現への運動は、社会にある差別(階級差別、不可触民差別、女性差別、宗教的不寛容、植民地差別等)廃絶のための運動であった。
第5回「思想運動としてのサッティヤーグラハ」(2):第4回講義の続き。2回の講義を通じてサッティヤ―グラハの体系およびガンディーの真理(サッティヤ)について学び、理解することができる。
第6回「アヒンサーと非暴力・不服従」(1):不殺生の思想が実践としては非暴力・不服従の抵抗運動を生み出すことになった。祈りと断食の抵抗運動であるハルタール[5大事件中②]がそれである。
第7回「アヒンサーと非暴力・不服従」(2):第6回講義の続き。2回の講義を通じて不殺生の思想について理解できる。
第8回「ブラフマチャリヤと断食」:禁欲の思想はガンディーのアーシュラム運動において実践されていたものであるが、政治の舞台では「死に至る断食」など一命を賭した断食をおこなった。禁欲の思想について理解できる。
第9回「チャルカーの思想」(1):チャルカーの思想あるいはカディーの精神は、西洋機械文明を批判しインドが回復すべき真の文明をめざしたものであること、機械工業の発展によって崩壊したインド経済の復興を農村経済の再生に求めたことを理解ができる。そして、糸車(チャルカー)で綿糸をつくり手織りで綿布(カディー)にする村落での手仕事が、イギリスの植民地支配からの政治的経済的独立の実現につながることが理解できる。
第10回「チャルカーの思想」(2):第9回講義の続き。2回の講義を通じてチャルカーの思想について理解できる。
第11回「ガンディーと不可触民問題」:不可触民制撤廃はガンディー終生の運動目標であった。インドで最初のアーシュラムで不可触民を受け入れたこと、晩年のセーヴァグラームは不可触民中心であったことからも明らかである。晩年、不可触民・分離選挙をめぐり、不可触民代表のアンベドカル博士との間に分離選挙か留保制度かで激しい政治論争がおこった。留保制度として決着したが、のち共和国憲法で取り入れられ、また不可触民制度は憲法で廃止された。
第12回「ガンディーとコミュナル問題」: (1)イギリスの民族分断政策のためインドのコミュナル問題はヒンドゥー・ムスリムの宗教対立と同義語となったこと、(2)アヨードゥヤー問題、(3)ガンディー以後バングラデシュ独立までのインド・パキスタンの対立、のなかで(1)がガンディーの関わるコミュナル問題である。この過程で、独立直後のことであるが「カルカッタの奇跡(5大事件中⑤)」がおこったのである。第11~12回の講義を通じて、反差別運動のなかでも不可触民制撤廃運動およびヒンドゥー・ムスリムの宗教的融和は晩年心血を注いだ運動であったことを理解する。
第13回「ガンディーの影響を受けた人々」(1):黒人差別反対運動の先頭に立ったM・R・キング牧師、人種差別法(アパルトヘイト)撤廃運動のN・マンデラ大統領および軍事政権下民主化運動を率いたアウンサンスーチー女史を取り上げる。
第14回「ガンディーの影響を受けた人々」(2):第13回講義の続き。
第15回「ガンディーの影響を受けた人々」(3):第14回講義の続き。第13~15回の講義を通じて、キング牧師、マンデラ大統領、アウンサンスーチー女史のいずれも非暴力・不服従主義を貫き、その人類への多大な貢献に対してノーベル平和賞を受賞したことを学ぶ。これによってガンディーの非暴力・不服従主義の普遍性が証明され、人類の未来への遺産となったことが理解できる。
評価方法
(基準等)
授業への取り組み 30%
課題レポート 30%
レポート試験 40%
授業外の学修
(予習・復習)
配布プリント・作業シート・講義ノート・参考文献・ICTを利用して講義内容をまとめておくこと。
その際、講義の連続性、連関性について特記しておき、次回講義へ準備とすること。
教科書・
参考書
教科書   なし
参考文献 鳥居千代香『ガンディーの言葉』岩波ジュニア新書 2011
       「激動の記録 ガンディー」(DVD) IVC 1988
       その他、適宜紹介していく。
参照URL
1. 
質疑応答
(月)~(木) 09:30~18:00 随時、研究室<3536> にて。
不在時来室を避けるため、事前に090-4253-2896 または hinos@dpc.agu.ac.jp
に連絡ください。
備考
画像
ファイル
更新日付2015/02/04 17:21:22