開講年度2015
科目名東洋史特殊研究B-Ⅱ
(全)開講学科歴史学科 2002-2012年度入学
開講種別秋学期
対象学年4年
担当者服部 隆行
単位数2
曜日・時限秋学期 火曜日 2時限
キャンパス


サブタイトル
最新の史料からみた朝鮮戦争の実態
科目のねらい
本講義では、第2次世界大戦以降の東アジアの国際関係についての基本事項を確認しつつ、冷戦期の米ソ対立が東アジアの国際関係にどのような影響を及ぼしたのかについて、東アジアの国際環境を大きく変動させた朝鮮戦争に着目して考察する。具体的には、①東アジアに冷戦が到来する契機となったアメリカ、ソ連〈現在のロシア〉による朝鮮半島の分割、②中国、北朝鮮、ソ連といった冷戦期の社会主義陣営の東アジア戦略とその動態、③朝鮮戦争が勃発するまでの国際環境の変動と中国、北朝鮮、ソ連の3者関係、④朝鮮戦争の勃発とその対応、⑤朝鮮戦争への中国の介入、⑥朝鮮戦争における戦闘、⑦朝鮮戦争の停戦と中国、北朝鮮、ソ連の態度など、朝鮮戦争に関する最新の史料を踏まえながら、史実に即した朝鮮戦争の詳細な実態を解明する。
到達目標
本講義では、東洋史専攻の学生諸君はもとより、日本史・西洋史・イスラム圏史ならびに、教職志望者にも有用な科目となるよう、第2次世界大戦以降の東アジアの国際関係について、その基本事項を確認しつつ、冷戦期の米ソ対立と東アジアの国際関係の変動について理解を深めていくため、履修する学生諸君は、現代史や現代の国際関係を構築している基礎的な史実をしっかりと習得することができる。また卒業論文の作成を控えた学生諸君には、歴史論文における歴史史料の活用方法、各種資料の分析・考察方法、あるいは歴史的理論と社会科学的な理論とを組み合わせた有意な分析・検討方法なども習得できる。また朝鮮戦争には数多くの映像資料も残されており、これらを適宜活用することで、学生諸君は、戦争を視覚的に認識し、戦争の実態に触れることができる。
授業の内容・
計画
1.はじめに
2.第2次大戦終結をめぐる東アジアの国際関係についての基本事項の確認(日本の敗戦と東アジアの国際環境の変動)
3.第2次大戦直後の東アジアの国際関係についての基本事項の確認(中国での内戦と日米関係の強化)
4.冷戦期の東アジアの国際関係についての基本事項の確認(米ソ対立と日中関係)
5.朝鮮戦争に関する映像資料を見る①
6.日本の敗戦と朝鮮半島情勢(東アジアの国際環境の変動と朝鮮半島)
7.日本の敗戦と東アジアでの冷戦の進行(冷戦の始まりと朝鮮半島の分断)
8.中華人民共和国の成立と東アジア諸国の反応
9.朝鮮戦争に関する映像資料を見る②
10.中ソ同盟と日米安全保障条約
11.ソ連・中国・北朝鮮の連携と朝鮮戦争の勃発
12.朝鮮戦争と東アジアの国際関係(休戦と東アジアへの影響)
13.朝鮮戦争に関する映像資料を見る③
14.朝鮮戦争と現代の東アジアの国際関係(1)
15.朝鮮戦争と現代の東アジアの国際関係(2)
16.試験(レポート提出)



*4年生のみなさんへ
高校時代、世界史を選択しなかったあるいは、選択していても第2次大戦期まで授業が進まず、あまり知識がないという学生諸君でも、基本的な知識を重視して授業を行いますので、是非履修してください。また教職志望の学生諸君は、本講義で使用するプリントの一部は、実際に高校の世界史の授業で使用しているものなので、教職の勉強などの際に、参考になります。
評価方法
(基準等)
期末のレポート提出により評価(75%)。授業への参加態度も重視する(25%)。
授業外の学修
(予習・復習)
事前に配布する授業プリントを読み込み、専門用語等を下調べすることで予習とする。授業中適宜紹介する冷戦期の東アジアや朝鮮戦争に関する入門書を読むことを通じて、朝鮮戦争をより深く知ることを復習とする。
教科書・
参考書
各単元の最初に配布するプリントをテキストとして使用する。高校時代に使用していた世界史の教科書や資料集があれば持参してほしい。
参考文献:入江昭『増補:米中関係のイメージ』(平凡社ライブラリー、2002年)〈やや高度だが一読の価値がある〉、毛里和子『日中関係』(岩波新書、2006年)、天児慧『中華人民共和国史』(岩波新書、1999年)〈2冊ともに入門書〉、服部隆行『朝鮮戦争と中国』(渓水社、2007年)〈本講義担当者の著書、研究書〉。
参照URL
質疑応答
秋学期開講期間中の毎週火曜日3限。教職志望者の現代史の勉強の仕方から、卒業論文作成に向けた様々な課題について、質問に応じます。ただし、事前に予約のこと。
備考
春学期からの通年の履修が最も望ましいが、秋学期からの履修者にも受講上において大いに配慮するので積極的な履修を求めます。
また東洋史のみならず、特に近現代史専攻の学生諸君には、本講義は近現代史の一般的な知識と考え方を学べるので、卒業論文の作成に向けて有用な科目となります。
画像
ファイル
更新日付2015/02/06 14:33:58