開講年度2015
科目名仏教の中国的展開Ⅱ
(全)開講学科宗教文化学科 2014年度以降入学
宗教文化学科 2013年度入学
宗教文化学科 2008-2012年度入学
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者水野 荘平
単位数2
曜日・時限秋学期 水曜日 4時限
キャンパス


サブタイトル
中国撰述経典の成立とその思想的背景
科目のねらい
 中国撰述経典とは、インドや西域諸国で成立した経典を漢訳したのではなく、文字通り中国において漢文で撰述された経典をいいます。「偽経」とも、「疑経」ともいいます。
 インドで成立した仏教が、全く異質の文明圏である中国で受け入れられるためには、儒教や道教といった中国固有の宗教思想を取り入れて、中国人のニーズに応えることが必要不可欠でした。こうした、中国人のニーズに合わせるかたちで中国で編纂された経典が、中国撰述経典です。
 この授業では、中国撰述経典について概説すると共に、中国撰述経典のなかでも、特に儒教や道教といった中国固有の宗教思想の影響が濃厚な『盂蘭盆経』と『父母恩重経』を取りあげて講読します。
到達目標
 中国撰述経典である『盂蘭盆経』や『父母恩重経』の講読を通して、中国人のニーズに合せた仏教とはいかなるものかを理解し、中国人の思想や仏教観、或いは中国撰述経典に依拠した現在の中国・日本の民間信仰について知ることを目標とします。
 また、経典本文を読み進めることにより、漢文経典の基本的な読解力を養うことも目標とします。
授業の内容・
計画
1.中国撰述経典についての概説
2.敦煌出土の疑偽経典
3.七寺一切経の疑偽経典
4.『大正蔵』所収の中国撰述経典
5.『盂蘭盆経』の講読と思想研究(1)
6.『盂蘭盆経』の講読と思想研究(2)
7.『盂蘭盆経』の講読と思想研究(3)
8.『盂蘭盆経』の講読と思想研究(4)
9.『盂蘭盆経』の講読と思想研究(5)
10.『父母恩重経』の講読と思想研究(1)
11.『父母恩重経』の講読と思想研究(2)
12.『父母恩重経』の講読と思想研究(3)
13.『父母恩重経』の講読と思想研究(4)
14.『父母恩重経』の講読と思想研究(5)
15.秋学期のまとめ

講義や漢訳経典の講読と併せて、中国撰述経典に依拠した現在の中国・日本の民間信仰に関する画像・映像資料も見ていきます。
評価方法
(基準等)
* 定期試験(60%)と、授業での小テストや小レポート(40%)に授業態度を含めて総合評価します。
授業外の学修
(予習・復習)
 講義のなかで、多くの旧漢字や仏教用語を使用しますが、講義の進行上、それら一々について細かく立ち入って解説することは困難です。
 復習として、講義の内容の確認はもちろんのこと、講義のなかに出てきた旧漢字や仏教用語について必ず調べ、覚えるようにしてください。
 また、予習として、講読する経典の該当する箇所を確認して、そのなかに使われている仏教用語について調べておいてください。
教科書・
参考書
≪教科書≫
* 授業のなかで、適宜プリントを配布します。
≪参考書≫
* 『仏教の東伝と受容』(新アジア仏教史6巻) 佼成出版社、2010年 【180.2/0625/6】
* 大野榮人・武藤明範「中国仏教と『盂蘭盆経』」(立川武蔵編『アジアの仏教と神々』、2012年、法蔵館)【180.2/0674】
参照URL
1.大正新脩大藏經テキストデータベース『大正蔵』のデータベース。『盂蘭盆経』や『父母恩重経』を収録。
質疑応答
毎回、授業の最後に質疑応答の時間をもうけます。
備考
* この講義の内容は秋学期の「仏教の中国的展開Ⅰ」と連動しているので、「仏教の中国的展開」Ⅰ・Ⅱと継続して受講するようにしてください。
* 講義中の入退室、私語、携帯電話の操作など講義に関係のない行為は禁止します。
画像
ファイル
更新日付2015/02/07 17:51:51