開講年度2014
科目名実習:生体と薬物
科目ナンバー
開講学科歯学部歯学科 2002-2014年度入学
(全)開講学科歯学部歯学科 2002-2014年度入学
部門専門  
開講種別秋学期
対象学年3年
担当者戸苅 彰史
実務経験教員
関連性が高いディプロマ・ポリシー
単位数2
曜日・時限秋学期 木曜日 3時限
秋学期 木曜日 4時限
秋学期 金曜日 3時限
秋学期 金曜日 4時限


コーディネーター
担当講座
薬理学講座
担当者
主任教授:戸苅彰史、准教授(兼担):新井通次、講師:平居貴生、助教:兒玉大介、助手:丹羽由華、非常勤講師、非常勤助教
授業の概要
(目的)
講義において述べられた薬物について、実験を通して具体的に薬物の効果を詳細に観察し、薬理作用を統合的に理解する。さらに、実験結果をまとめ考察する力を養う。
教材(教科書、
参考書等)
『教科書』
実習用テキスト「生体と薬物」

『参考書』
現代歯科薬理学 第5版
加藤有三、篠田 壽(監修) 医歯薬出版
講義(実習)
の方法・形式
・動物(個体)全体および摘出臓器・組織を用いて、薬物の作用を観察し記録する。必要に応
 じてビデオを利用する。
・決められた項目の実習をグループで行う。消毒薬の実習は、個人で行う。
・実習結果をまとめ、講義必携の参考書、講義ノートおよび資料(プリントおよび掲示)を参
 考にして考察する。
必要機器
課題
(定期試験・
レポート試験・
授業内試験)の
フィードバック方法
講義・実習
講義(実習)項目・一般目標(GIO)講義(実習)内容・到達目標(SBOs)・
予習・復習
担当者
1〔オリエンテーション〕

一般目標(GIO)
●実習(動物実験)への心構えを習得する。

1.動物実験に臨む姿勢
2.動物の取扱い方
3.薬物投与方法
動物実験に臨む姿勢、動物の取扱い方および薬物投与方法などについて解説し、実習の日程、班分け、出席および実習試験についてプリントを配布して説明する。

到達目標(SBOs)
①動物実験の心得を説明できる。
②動物の取り扱いおよび薬物投与の方法を説明できる。
③実験結果のまとめ(レポート)の書き方を説明できる。
④実習における一般的注意事項を説明できる。

●実習用テキストp.1~8、プリント
戸苅 彰史 他
2〔腸管平滑筋に作用する薬物〕
摘出腸管に作用する薬物-マグヌス法-

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
ウサギ摘出腸管を用いて、腸管収縮と自動運動に及ぼす交感神経作動薬・副交感神経作動薬の作用を観察する。また、平滑筋に直接作用する向筋肉性薬物の効果を観察する。

到達目標(SBOs)
①薬物の基本形式と分類を説明できる。
C-5-2)-②
②自律神経薬、平滑筋収縮薬および平滑筋弛緩薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
③薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥

●実習用テキストp.43~48、プリント
戸苅 彰史 他
3〔末梢血管に作用する薬物〕
ウサギ耳介の血管灌流実験

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
薬物による血管平滑筋の収縮と弛緩を灌流量の変化として捉え、交感神経作動薬および遮断薬の作用を観察し、末梢血管における自律神経系の役割について理解する。さらに狭心症治療薬として用いられる血管拡張薬および歯科医療に用いられる局所麻酔薬の血管平滑筋に及ぼす作用についても観察する。

到達目標(SBOs)
①薬物の基本形式と分類を説明できる。
C-5-2)-②
②交感神経作動薬および遮断薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
③薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥

●実習用テキストp.31~36、プリント
戸苅 彰史 他
4〔炎症・アレルギーに作用する薬物〕
抗アレルギー薬の効力試験

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。
●炎症の概念と発症機構を理解する。
痒みモデルおよび足底浮腫法を用いて抗アレルギー薬および抗炎症薬について学習する。Compound 48/80をマウスに投与することにより生じる掻痒反応を指標に抗アレルギー薬の薬効を評価する。また、ラットのfoot padにカラゲニンを投与することにより生じる足底浮腫を指標に抗炎症薬の薬効を評価する。

到達目標(SBOs)
①炎症の定義を説明できる。
C-4-4)-①
②薬物の基本形式と分類を説明できる。
C-5-2)-②
③抗炎症薬および抗アレルギー薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
④薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥
⑤抗炎症薬および抗アレルギー薬の一般的副作用を説明できる。
C-5-4)-①

●実習用テキストp.71~74、プリント
戸苅 彰史 他
5〔血圧に作用する薬物〕
ラットの血圧に作用する薬物

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
ラットの頸動脈圧をモニターし、アドレナリンによる昇圧とそれに伴う反射性の血圧変動(迷走反射)およびイソプレナリンによる血圧変動を観察する。また、副交感神経遮断薬がこの迷走神経反射を抑制すること、さらにα遮断薬を投与した時にアドレナリンによる血圧変動がどのように変化するかを観察し、血圧における自律神経系の役割について理解する。

到達目標(SBOs)
①薬物の基本形式と分類を説明できる。
C-5-2)-②
②心臓および末梢血管に作用する薬物の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
③薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥

●実習用テキストp.37~41、プリント
戸苅 彰史 他
6〔局所麻酔薬(1)〕
モルモット皮内膨疹反応

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●皮内注射により適用された薬物の生体内運命を理解する。
●薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。
●一般的な歯科治療における局所麻酔の基本を理解する。
モルモットの背部皮内に局所麻酔薬を投与し、刺激針で機械的に刺激した際の反応を指標にして、局所麻酔薬の効果を調べる。リドカインの麻酔効果がアドレナリン添加により延長することを観察し、局所麻酔薬に血管収縮薬を添加する意義を理解する。

到達目標(SBOs)
①局所麻酔薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
②局所麻酔薬の薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)を説明できる。
C-5-3)-②
③薬物(血管収縮薬)の併用(協力作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥
④薬物(局所麻酔薬)の一般的有害作用を説明できる。
C-5-4)-①
⑤局所麻酔の目的を説明できる。
E-1-3)-(3)-①
⑥局所麻酔作用に影響を及ぼす因子を説明できる。
E-1-3)-(3)-③
⑦血管収縮薬の種類と特徴を説明できる。
E-1-3)-(3)-④

●実習用テキストp.66~68、プリント
戸苅 彰史 他
7〔局所麻酔薬(2)〕
1.ウサギ角膜知覚麻痺試験

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●粘膜適用により適用された薬物の生体内運命を理解する。

2.局所麻酔薬の吸収作用(急性中毒)

一般目標(GIO)
●静脈内投与により適用された薬物の生体内運命を理解する。
●薬物の有害作用とその予防対策に関する基本的事項を理解する。
ウサギに数種類の局所麻酔薬を点眼し、刺激毛で角膜刺激した際の瞬目反射の消失回数を指標として薬物の表面麻酔効果を調べることにより、局所麻酔薬の種類と分類を理解する。
ウサギに局所麻酔薬を皮下または静脈内投与する。全身症状を観察し、局所麻酔薬の吸収作用について理解する。

到達目標(SBOs)
①局所麻酔薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
②局所麻酔薬の適用方法の種類とその特徴を説明できる。
C-5-3)-①
③局所麻酔薬の薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)を説明できる。
C-5-3)-②
④薬物(局所麻酔薬)の一般的有害作用を説明できる。
C-5-4)-①
⑤歯科治療時に留意すべき服用薬物を説明できる。
E-1-3)-(1)-②
⑥局所麻酔の目的を説明できる。
E-1-3)-(3)-①
⑦局所麻酔薬を分類し、その作用機序を説明できる。
E-1-3)-(3)-②
⑧局所麻酔作用に影響を及ぼす因子を説明できる。
E-1-3)-(3)-③
⑨局所麻酔薬の種類と特徴を説明できる。
E-1-3)-(3)-⑤
⑩局所麻酔時の合併症(偶発症とその対応を含む)を説明できる。
E-1-3)-(3)-⑥
⑪救急処置に用いられる薬物を列挙し、その作用機序を説明できる。
E-1-5)-⑥

●実習用テキストp.63~66、69~70、プリント
戸苅 彰史 他
8〔薬物動態〕
スルフィソミジンの血中濃度測定

一般目標(GIO)
●種々の方法で適用された薬物の生体内運命を理解する。
ラットにスルフィソミジンを経口または静脈内投与し、血中濃度の経時的変動およびアセチル化率を調べ、生体内における薬物動態(吸収、分布、排泄および代謝)について理解する。

到達目標(SBOs)
①薬物の適用方法の種類とその特徴を説明できる。
C-5-3)-①
②薬物の薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)を説明できる。
C-5-3)-②

●実習用テキストp.9~15、プリント
戸苅 彰史 他
9〔心臓に作用する薬物〕
八木式心臓灌流法

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
カエル摘出心臓を八木式カニューレにセットし、リンゲル液を循環させた実験系において、心運動に及ぼす自律神経系薬、カルシウムイオンおよび強心配糖体の作用を観察し、心収縮のメカニズムと自律神経系による調節および強心薬の作用について理解する。この実習ではカエルの心臓を摘出するところからすべてを学生自身で用意し実行する。

到達目標(SBOs)
①薬物の基本形式と分類を説明できる。
C-5-2)-②
②心臓に作用する薬物の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
③薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥

●実習用テキストp.25~30、プリント、ビデオ
戸苅 彰史 他
10〔鎮痛薬(1)〕
鎮痛薬の効力検定(圧刺激法)

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●疼痛の種類、発生機序および制御機構・方法を理解する。
●薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。
マウスを用い、鎮痛薬の効力試験法について学ぶ。マウスにモルヒネ(0, 2.5, 5, 10 mg/kg)を皮下投与し、マウスの尾部に加えた機械的刺激(圧刺激)に対する仮性疼痛反射を指標としてそれぞれの投与量における鎮痛薬の効力を調べ、モルヒネの鎮痛効果について理解する。

到達目標(SBOs)
①疼痛の種類を説明できる。
C-4-6)-①
②疼痛の発生機序を説明できる。
C-4-6)-②
③疼痛の制御機構・方法の概念を説明できる。
C-4-6)-③
④鎮痛薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
⑤鎮痛薬の一般的副作用、有害作用を説明できる。
C-5-4)-①

●実習用テキストp.57~62、プリント
戸苅 彰史 他
11〔鎮痛薬(2)〕
1. 鎮痛薬の効力検定(ストレッチング抑制法)

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●疼痛の種類、発生機序および制御機構・方法を理解する。
●薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。

2. モルヒネによる挙尾反応

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
予めモルヒネ、アミノピリン、または生理食塩水を皮下投与したマウスに希酢酸(化学的刺激物質)を腹腔内投与し、腹部伸長反応(ストレッチング)の回数を調べ、麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬の効力の違いについて理解する。また、マウスにモルヒネを投与し、挙尾反応(ストラウブの挙尾反応)を観察し、モルヒネの脊髄興奮作用を理解する。

到達目標(SBOs)
①疼痛の種類を説明できる。
C-4-6)-①
②疼痛の発生機序を説明できる。
C-4-6)-②
③疼痛の制御機構・方法の概念を説明できる。
C-4-6)-③
④鎮痛薬の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
⑤鎮痛薬の一般的副作用、有害作用を説明できる。
C-5-4)-①

●実習用テキストp.57~62、プリント
戸苅 彰史 他
12〔消毒薬〕
ゾウリムシを用いた消毒薬の効力検定

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。
消毒薬の効力は、本来、病原菌を死滅させる効果から検討されている。実習では、その簡便法として、安全で取扱いの容易なゾウリムシを材料として消毒薬の効力を比較することにより、消毒薬の種類と分類を理解する。

到達目標(SBOs)
①薬物(消毒薬)の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
②薬理作用を規定する要因(消毒薬の用量と反応、感受性)を説明できる。
C-5-2)-④
③手指と術野の消毒(器具の滅菌、消毒を含む)について説明できる。
E-1-4)-⑥
④消毒薬の一般的副作用、有害作用を説明できる。
C-5-4)-①

●実習用テキストp.75~80、プリント
戸苅 彰史 他
13〔薬物の用量反応〕
薬物の用量-反応曲線

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。

1)ヒスタミンの用量反応
2)競合拮抗薬の影響
3)非競合拮抗薬の影響
モルモット摘出腸管を用いて、腸管収縮反応におけるヒスタミンの用量反応曲線を描く。ジフェンヒドラミンを前処置した腸管におけるヒスタミンの用量反応曲線を描く。パパベリンを前処置した腸管における用量反応曲線を描く。3つのヒスタミンの用量反応曲線を比較し、競合拮抗と非競合拮抗の違いを理解する。

到達目標(SBOs)
①薬物の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③
②薬理作用を規定する要因(用量と反応、感受性)を説明できる。
C-5-2)-④
③薬物の併用(拮抗作用)を説明できる。
C-5-2)-⑥

●実習用テキストp.48~56、プリント
戸苅 彰史 他
14〔二重盲検法〕
カフェインの作業効率に及ぼす影響

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
●薬物の効果に及ぼす心理的影響を理解する。
無作為に2群に分かれた学生が、カフェイン含有コーヒーまたは無カフェインコーヒーを飲む。その際、学生にも担当教員にも、どちらのコーヒーを飲んだかを伏せて行う。コーヒーの飲用前後に暗算業務を行い、その作業量を指標にして、カフェインの精神興奮作用を客観的、定量的に評価し、理解する。

到達目標(SBOs)
①薬物の効果を規定する要因としての心理的影響を説明できる。
C-5-2)-④
②薬物(カフェイン)の作用機序を説明できる。
C-5-2)-③

●薬理学実習書p.81~84、プリント
戸苅 彰史 他
15〔実習の総括〕

一般目標(GIO)
●薬物の作用に関する基本的事項を理解する。
実習に関する総合的な試験を行う。戸苅 彰史 他
留意事項
実習用テキスト「生体と薬物」を必ず携帯すること。また、授業で用いたプリントと教科書も携帯し、それぞれの項目に対するレポート(プリント)を実習当日(実習時間内)に完成させ、提出すること。
授業以外の
学習方法
十分理解できない事項や興味を持った事項を足がかりとして、図書館にある参考書などを利用し、より能動的な学習を行う。また、教員とも連絡を取り、援助を受けるのも良い。他の授業科目の内容と本授業科目の内容との関連を見いだし、整理して包括的に理解するよう努めることが望ましい。
成績評価方法
筆記試験 60%、態度 40%
参照ホーム
ページ
画像
ファイル
更新日付2014/08/15 11:32:55