【百足】

★1.百足が蛇を殺す。

『池北偶談』「キョウ蛇」  広西地方にいるキョウ蛇は、不思議に人の姓名を知っており、それを呼ぶ。呼ばれて答えると、その人はただちに死ぬ。それで、この地方では箱の中に百足を入れておき、夜、人の名を呼ぶものがあると、返事をせずに百足を放す。百足は戸外に潜むキョウ蛇を食い殺して、また箱に戻って来る。

『独醒雑志』「報寃蛇(ほうえんだ)」  旅人がたわむれに杖で蛇を打つ。その後、旅人は身体の具合が悪くなる。宿の主人が「その蛇は報寃蛇というもので、今夜来てあなたを咬むでしょう」と言い、竹筒を貸し与える。夜、蛇が来たので、旅人が竹筒を開けると、百足が這い出して蛇を殺す。

★2.百足と蛇が戦い、人間が蛇の見方をする。

『今昔物語集』巻26−9  加賀国の男七人の乗る船が風に吹かれ、沖合の島に漂着する。蛇の化身である男が来て、「明日、宿敵と戦うので助けて欲しい」と請う。翌日、海上から長さ十丈ほどの百足が現れ、島からは同じほどの長さの大蛇がこれを迎え撃ち、噛み合う。七人の男たちは多くの矢を百足に射かけ、刀で百足の足を斬って殺す。蛇の化身は礼を述べ、七人は家族とともにこの島に移り住んだ。

『俵藤太物語』(御伽草子)  大蛇の化身である美女が俵藤太秀郷に、「琵琶湖に住む私たちの一族は、三上山の大百足に苦しめられている」と訴え、「大百足を退治してほしい」と請う。三上山をゆるがしてやって来る大百足を、俵藤太は強弓で二度射るが、二度ともはね返される。三度目に矢先に唾をつけて射ると、唾は百足にとっては毒になるので、矢は大百足の眉間から喉をつらぬき、殺すことができた。

『日光山縁起』下  有宇中将は死後に神となり、下野国の日光権現となった。日光権現は中禅寺湖の領有をめぐって、上野国の赤城大明神としばしば戦った。日光権現は、孫にあたる小野猿丸が弓の名手だったので、助力を請う。赤城大明神は大百足の姿で湖水を渡って攻めかかり、日光権現は大蛇の姿で迎え撃つ。猿丸は強弓で大百足の左眼を射抜き、大百足は深手を負って退却する。

★3.百足の多くの足。 

『百足の使い』(昔話)  寒い日に、百足と蚤と虱が「酒を買って来て飲もう」と、相談する。蚤は飛び跳ねるので酒瓶を割る恐れがあり、虱は足が遅い。そこで百足が酒屋まで出かけるが、なかなか戻って来ない。蚤と虱が見に行くと、百足は足がたくさんあるものだから、まだ庭のすみでわらじをはいている途中だった(長崎県西彼杵郡伊王島)。

★4.百足が人を殺す。

『夢の浮橋』(谷崎潤一郎)  「私(乙訓糺・おとくにただす)」は六歳で生母を失った。「私」が九歳の時に父は再婚し、「私」には十二歳年上の継母ができた。「私」は成人後、継母と関係を持つようになった。父は「私」に、「妻をめとり、夫婦で母に仕えよ」と遺言して死んだ。「私」は妻をめとったが、三年後、妻の不注意により、継母は百足に胸を刺され、三十五歳で死んだ。妻が故意に、眠る継母の胸に百足を置いたのかもしれなかった。

★5.大百足が家の中に現れる。

『異苑』42「むかでと老婆」  秋の夕暮れ時、胡充という人の家に三尺ほどの大百足が現われ、胡充の妻と妹の前に落ちた。女中が百足を外へつまみ出したが、外へ出たとたん、女中は一人の老婆と出会った。老婆はぼろぼろの着物を着て、両目とも瞳がなかった。翌年春、胡充の一家は流行病にかかり、次々に死んでいった。 

銭亀家の白百足の伝説  ある夜、財産家の銭亀さんの家に大きな白百足が現れ、皆が恐れ騒ぐうちに姿を消した。これは裏山の毘沙門様から来たのだろうというので、銭亀さんは、毘沙門様に通ずる道筋に一メートルほどの段を掘り、「道切り」をした。それから白百足は姿を見せなくなったが、銭亀さんの家には不幸が重なり、財産も人手に渡ってしまった(兵庫県佐用郡佐用町)。

 

*オホナムヂは、呉公(むかで)の部屋に入れられ(*→〔難題〕2aの『古事記』上巻)、スサノヲの頭の呉公を取らされる(*→〔虱〕2の『古事記』上巻)。

 

【無限】 

★1.無限に小さくなるが、ゼロにはならない。

『縮みゆく人間』(マシスン)  スコットは身長六フィート以上ある成人だったが、ある日、殺虫剤を浴び、さらにその後、放射能を帯びた波をかぶるという事故にあう。その相乗作用で、彼は一週間に一インチずつ身長が縮んで行く。身体はどんどん小さくなり、ついには木の葉の上に坐るほどになる。その時、彼は悟る。いくら小さくなっても、決してゼロにはならないことを。存在には無限の次元がある。新しい世界、極微の世界で、彼は生き続けるのだ。

*無限に距離が縮まるが、ゼロにはならない→〔競走〕5bのアキレスと亀の故事。

*無限に尾が分割されるが、ゼロにはならない→〔尾〕5の『無門関』(慧開)38「牛過窓櫺」。

★2a.無限に近い膨大な情報を、一つの刻み目に収める。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹)27「百科事典棒」  百科事典の内容を、楊枝一本に刻むことができる。文字を、Aは01、Bは02、のように二桁の数字で表す。コンマやピリオドも同様に数字化する。そして百科事典の全文章を数字にして並べ、いちばん前に小数点を置く。すると、0.1732000631・・・・という具合に、とてつもなく長い数字列ができる。その数字列にぴたり相応した楊枝のポイントに、刻み目を入れる。たとえば0.3333・・・・なら、楊枝の前から三分の一のポイントだ。こうすれば、どんな長い情報も、楊枝の一つのポイントに刻みこめる。  

★2b.無限に近い広大な海を、一本の髪の毛が呑みこむ。

『臨済録』「勘弁」  ある時、臨済禅師は『維摩経』「不思議品」の句を引いて、「一本の髪の毛が大海を呑みこみ(毛呑巨海)、一粒の芥子の中に須弥山を収める(芥納須弥)というが、これは不可思議な神通力なのか、それとも本体のありのままなのか?」と、問答を仕掛けた〔*「毛呑巨海」は「一毛大海」と言われることもある〕。

★3.無限の情報を、一巻の書物に収める。

『バベルの図書館』(ボルヘス)  無限ともいうべき大きさの図書館がある。その厖大な蔵書の中では、文字のあらゆる可能な組み合わせが実現されている。すなわち、言語で表現し得る一切のことがら(過去も未来も、真実も虚偽も)が、書かれているのだ。もっとも、広大な図書館は無用の長物だ、との意見もある。無限に薄いページが無限数ある「一巻の書物」で充分だ、というのである。

*無限のページを有する本→〔本〕3の『砂の本』(ボルヘス)。

★4.無限の時間。無限の繰り返し。

『この人を見よ』(ニーチェ)「ツァラトゥストラ」  一八八一年八月のある日。「わたし(ニーチェ)」は、シルヴァプラーナの湖畔の森を散歩していた。ピラミッド型にそそり立つ巨大な岩のそばに立ち止まった時、「わたし」は、「無限の時間の中ではすべてのことがらが無限回繰り返される」という、永劫回帰の思想を受胎した。「わたし」はそれを一枚の紙片に走り書きし、「人間と時間を超えること六千フィート」と添え書きした。

 

【婿選び】

★.大勢の男を集め、理想の婿を選ぶ。

『西遊記』百回本第9回  陳光蕋(こうずい)は科挙の試験に合格し、帝から「状元」の称号を賜って、長安の街を三日間練り歩く。ちょうど、宰相の一人娘温嬌が婿選びのため、刺繍をした毬を楼上から道行く人に投げる折であり、温嬌は陳光蕋を一目見て、彼に向け毬を投げ下ろす。二人は結婚し、玄奘が生まれる。

『西遊記』百回本第93〜95回  三蔵法師(玄奘)一行が天竺国の街に入った時、国王の公主(娘)が婿選びの儀式を行っているところで、公主は楼の上から刺繍をした毬を三蔵に投げつける。実は公主の正体は妖精で、三蔵を夫として彼の元陽真気を奪い、太乙上仙になろうとしたのだった。しかし孫悟空がこれを見破り、妖精を退治した。

『詩語法』(スノリ)第3章  アース神たちが、巨人の娘スカジに「われわれの足だけを見て、その中から夫を選べ」と言う。スカジはいちばん美しい足に目をとめ、それを光の神バルドルと思って、その持ち主を夫に選ぶ。ところがそれは海の神ニョルズの足であった。

『露団々(つゆだんだん)(幸田露伴)  米国の大富豪「ぶんせいむ」が、一人娘「るびな」の花婿募集の新聞広告を出す。世界中から求婚者が集まり、「ぶんせいむ」は彼らを様々に試験する。「るびな」には相思相愛の青年「しんじあ」があるが、「しんじあ」は、試験に勝ち抜いての結婚というやり方を嫌い、求婚競争に加わらない。実は「ぶんせいむ」は、「しんじあ」の心を試そうとして婿選びの広告を出したのであり、結局「ぶんせいむ」は、「るびな」を「しんじあ」と結婚させることになった。 

『殿集め』(落語)  某大家(たいけ)の妙齢の娘が清水の舞台から飛び降りるというので、大勢が見物に来る。しかし娘は舞台上から人々を見回しただけで、飛び降りずに帰ってしまい、皆不思議がる。娘は供の者に「あれだけ殿御を集めても、良い男はないものじゃなあ」と言う。

『マハーバーラタ』第3巻「森の巻」  ダマヤンティ姫の婿選びの儀式に、神々がナラ王そっくりに変身して現れ、瓜二つの五人の中から、姫は本物のナラ王を見出さねばならない。姫は、ナラ王への一途な愛を神々に訴えかけ、心を動かされた神々が本来の姿に戻ったので、姫はナラ王の首に花輪をかける。

*強弓を引ける男を婿に選ぶ→〔弓〕2

 

【夢告】

★1.夢の中に神仏などが現れ、直接言葉で意志を伝え、指示を与える。したがって夢解きをする必要がない。

『古事記』中巻  ある夜、熊野の人・高倉下(たかくらじ)が夢を見る。高天原の神々が、地上で苦戦するカムヤマトイハレビコ(=後の神武天皇)を助けるため、太刀を降ろす相談をする、との内容であった。「高倉下の倉の棟に穴を開け、太刀を落とし入れるから、天つ神の御子(=カムヤマトイハレビコ)に奉れ」という夢告があり、翌朝、高倉下が倉の中を見ると、太刀があった〔*『日本書紀』巻3神武天皇即位前紀戊午年6月に類話〕。

『古事記』中巻  疫病で多くの人民が死に、崇神天皇が憂えて神床に寝た夜、大物主大神が夢に現れ「意富多多泥古(おほたたねこ)に我を祭らせれば、国は安らかになろう」と告げた。早速、駅使(はゆまづかい)を四方に走らせて意富多多泥古という人を捜し求め、河内国美努村に彼を見出した〔*『日本書紀』巻5崇神天皇7年2月・8月に類話〕。

『古事談』巻3−107  解脱房の母が、貞慶と名乗る聖人が来て「腹中に宿らん」と請う、との夢を見る。母は懐妊し、解脱房を産む。解脱房は幼時より奈良で修行し、出家後、貞慶と称したので、母は懐妊時のことを思い出して驚く。

『荘子』「外物篇」第26  宋の元君の夢に、髪を乱した人が現れて「河伯の所へ使いに行く途中で漁師の余且に捕まった」と告げる。目覚めた元君は余且を捜し、翌日余且は出頭して「幅五尺の白亀が網にかかった」と報告する→〔亀〕3

『日本書紀』巻11仁徳天皇11年10月  茨田堤に、築いてもすぐ壊れる所が二ヵ所あった。天皇の夢に神が現れ、「武蔵の人強頸と河内の人茨田連衫子を河佰に奉れば、堤は塞げる」と告げた。そこで二人を捜し求めて、人身御供とした。

『日本書紀』巻19欽明天皇即位前紀  欽明天皇が若い頃、夢に人が現れ「秦大津父という者を寵愛されれば、壮年になって必ず天下をお治めになるでしょう」と告げた。天皇は使者を遣わして捜し求め、山背国紀郡深草里にその人を見出した。

★2.複数の人間が同じ夢告を得る。

『宇治拾遺物語』巻8−4  紀友則の夢に、死んだ藤原敏行が現れて冥界での苦を訴え、四巻経の書写供養を三井寺の僧某に依頼してくれ、と請う。友則が三井寺の僧某を訪れると、その僧も友則と同じ夢を見ていた〔*『今昔物語集』巻14−29の類話では、橘敏行とする〕。

『黄金伝説』3「聖ニコラウス」  ローマの三人の将軍が、讒訴により死刑を宣告される。三人は聖ニコラウス(=サンタ・クロース)に加護を願う。その夜、皇帝と執政官の夢枕に聖ニコラウスが立ち、「将軍たちを釈放せよ」と告げる。皇帝と執政官は互いの夢を話し合い、将軍たちを釈放する。

『ダフニスとクロエー』(ロンゴス)巻1  ダフニスが十五歳、クロエーが十三歳の時、捨て子だった彼らをそれぞれ拾い育てたラモーンとドリュアースが、ある夜同じ夢を見た。肩に翼があり弓と矢を持つ少年が、「ダフニスを山羊飼いに、クロエーを羊飼いにせよ」と告げる夢で、ラモーンとドリュアースは互いの夢を語り合い、それに従った。

『日本書紀』巻5崇神天皇7年8月  八月七日、倭迹速神浅茅原目妙姫・大水口宿禰・伊勢麻績君の三人が共に同じ夢を見て、「昨夜、一人の貴人から、『大田田根子命を大物主大神を祀る祭主とし、市磯長尾市を倭大国魂神を祀る祭主とすれば天下は平らぐ』との夢告を得た」と奏上した。

『盛久』(能)  鎌倉由比ガ浜での処刑前夜、捕われの盛久の夢に老僧(=清水観音の化身)が現れ「我、汝が命に代はるべし」と告げる。刑場で刀の折れる奇瑞があり、盛久は頼朝のもとへ召される。頼朝も盛久と同じ夢を見ており、盛久は赦免される。

★3.いつわりの夢告。

『ささやき竹』(御伽草子)  鞍馬の西光坊が、左衛門尉の十四歳の姫に愛欲の心を起こす。彼は呉竹の節を抜き、隣室に眠る左衛門尉夫婦の枕に押し当てて、「我は鞍馬の多聞天なり。汝の娘を長櫃に入れて鞍馬山へ登せよ」とささやく。夫婦は、二人ともに同じ夢告を得たことを不思議に思い、姫を櫃に入れて鞍馬山へ送る→〔僧〕1

 

【無言】

★1a.無言の行。

『玄奘三蔵(げんぞうさんぞう)(谷崎潤一郎)  玄奘三蔵は天竺に渡り、さまざまな苦行者たちを見る。その中に、十年以上も無言で趺坐し続ける仙人がいた。玄奘三蔵は釈迦牟尼佛の霊跡を訪れての帰途、数年を経て再び無言の仙人を見る。微動だにせぬ仙人が膝上に組む両手の指の爪は長く伸び、手の肉の中へ分け入って、掌の表から裏へ突き抜けていた。

『南総里見八犬伝』(滝沢馬琴)第6輯巻之5下冊第61回  犬飼現八が巳の刻頃に犬村角太郎(後の大角)の草庵を訪れた時、角太郎は瞑目・結跏趺坐して無言の行の最中であり、現八の呼びかけに応じない。不義の疑いで離別された妻雛衣が潔白を訴えに来ても、無視する。真昼になってようやく角太郎は解行し、現八を招じ入れる。

★1b.二人〜三人が、無言の行くらべをする。

『百喩経』「夫婦が餅を食べるとき約束をした喩」  夫婦が三枚の餅を一枚ずつ食べ、残りの一枚は、ものを言わない方が食べることにする。泥棒が入って家財を盗み出すが、夫婦は無言のままであるので、泥棒は夫の目の前で妻を犯す。妻はたまりかねて「泥棒」と叫び、夫は「餅はおれのものだ」と喜ぶ。

『無言の行』(落語)  三人が夜中まで無言の行をする。一人が「ものを言わずにいるのは大変だ」と言うと、もう一人が「そら、お前はものを言った」と指摘して、二人が失格する。最後の一人が笑って、「黙っているのはおれだけだ」と言う。

★1c.無言のまま、なしとげねばならぬ仕事。

『忠臣ヨハネス』(グリム)KHM6  王が、黄金の屋根の国の王女を花嫁として迎える。しかし二人には命の危険が迫っており、二人を救うためには、誰かが無言のまま、王の乗る馬を殺し、王の婚礼下着を燃やし、王女の乳房から血を三滴吸い出さねばならない。王の忠臣ヨハネスがこれをやり遂げるが、王は怒ってヨハネスに死刑を宣告する。ヨハネスが、自分の行動のわけを申し開きすると、彼は石になってしまう。

『橋づくし』(三島由紀夫)  陰暦八月十五日の深夜、料亭の娘や芸者たち四人が、銀座周辺の七つの橋を無言の行をしつつ渡って、月に願いをかけようとする。しかし知り合いに出会ったり警官に呼び止められたりして、女たちは口を開かざるを得ず、女中一人だけが無言で橋々を渡り終える。

★2a.妻が無言のまま試練に耐え抜く。 

『十二人兄弟』(グリム)KHM9  王女の十二人の兄たちが、烏になってしまう。兄たちを人間に戻すためには、王女は七年間、無言でいなければならない。ある国の王が、王女を見そめて妃にする。しかし妃は、まったく口をきかず、笑いもしない。そのため王の母が妃を嫌って、とうとう妃は火刑に処せられる。ちょうどその時、七年の歳月が終わり、十二羽の烏が飛んで来て、次々に人間の姿になる。

『野の白鳥』(アンデルセン)  白鳥になった十一人の兄王子たちを救うため、エリサはトゲのあるイラクサを摘んで、十一枚の着物を編まねばならない。しかもその仕事が出来上がるまで、何年かかろうと一言も口をきいてはいけない。王がエリサを見そめて妃にするが、エリサは終始無言である。夜、エリサは寝室をぬけ出して、墓地へイラクサを摘みに行く。王はエリサを魔女だと思い、火刑に処す。その時、エリサは十一枚の着物を編み終わり、十一人の兄たちは人間の姿に戻る。

★2b.無言でいなければならない妻が、声を発してしまう。 

『杜子春伝』(唐代伝奇)  杜子春は道士から「決して口を聞くな」と命ぜられる。彼は地獄で拷問を受け、女に転生して結婚し、男児をもうけるが、その間、一言も発しなかった。夫が男児を抱いて杜子春に話しかけてもまったく無言なので、ついに夫は怒り、男児を石にたたきつける。杜子春は思わず「あっ」と声をあげる。もし無言のままでいたならば、道士は霊薬を完成させ、杜子春も仙界の人となれたはずであった。

★2c.声が出ない妻。 

『マリアの子ども』(グリム)KHM3  マリアから「開けてはならぬ」と禁じられた扉を少女が開け、しかも「開けていない」と嘘を言ったため、罰で口がきけなくなる。少女は王妃になり、子供を三人産むが、マリアが三人ともさらってしまう。王妃は、子供を食ったものと見なされ、火刑に処せられる。王妃が「死ぬ前に罪を告白したい」と思うと、声が出るようになり、「マリア様、私は扉を開けました」と叫ぶ。雨が降って火を消し、マリアが三人の子を返す。

★3.無言の人。 

『西鶴諸国ばなし』(井原西鶴)巻3−2「面影の焼残り」  十四歳の娘が病死し、火葬されて黒木のようになるものの、焼け残って蘇生する。乳母の夫が娘を家に運んで医者に見せると、やがてもとの身体になるが、無言のままだった。占い師が、「親類が娘を死者として扱い、仏事をしているからだ」と教えたので、男は娘の生存を両親に知らせる。両親が位牌をこわすと、娘はものを言い出した。

*生まれつき無言の人→〔生き肝〕1の『今昔物語集』巻4−40。

★4.無言の霊。対話不可の霊。 

『無言』(川端康成)  先輩作家大宮が脳出血で倒れ、しゃべれなくなる。「私(三田)」が見舞いに行き、語りかけても、大宮は終始無言である。帰途、「私」の乗ったタクシーの中に、若い女の幽霊が現れる。幽霊は無言であり、「私」には見えないが、運転手は「旦那の横に坐っている」と言う。「私」が「何か話してみようか」と言うと、運転手は「幽霊としゃべるとたたられる。とりつかれるからやめなさい」と止める。

★5.対話不可の人。

『異苑』88「話しかけられない人」  ある所に劉という姓の人がいた。この人と話をすると、必ず災難に遭うか病気になるか死ぬかするので、皆、劉を避けた。一人の士人が恐れずに劉と話をしたが、まもなく士人の家は火事になり、家財一切を失った。

 

*無言でいなければならぬという禁忌→〔禁忌〕2

*無言の問答→〔問答〕1a1b

 

【虫】

★1.虫が身体から出る。

『東海道名所記』巻6  人の身体の中には三尸の虫がいる〔*足部と腹部と頭部に棲むという〕。庚申の夜に人が眠ると、身体から三尸の虫が抜け出して天へ昇る。三尸の虫はその人の悪事を天帝に告げ、人は罰をこうむる。それゆえ庚申の夜は、三尸の虫を天へ昇らせないよう、人は起きているのである。

『聊斎志異』巻5−175「酒虫」  大酒飲みの劉氏が、ラマ僧から「体内に酒虫がいる」と言われ、治療を受ける。首から五寸ほどの所に美酒を置いてしばらく待つと、口から長さ三寸ばかりの赤い虫が出、酒の中に落ちる。その後、劉氏は酒が飲めなくなり、身体が痩せ家も貧しくなった。

*→〔魂〕2に関連記事。

★2a.人間が死んで、一匹の虫に生まれ変わる。

『沙石集』巻9−25  天竺の優婆塞(うばそく)は善を修めた功徳で、死後、天に生まれるはずだった。しかし彼は、妻に心を残して死んだために、虫となって妻の鼻の中に生まれた。妻が鼻をかむと虫が出たので、妻は虫を踏み殺そうとする。聖者がこれを見て、「この虫は汝の亡夫だ」と教え、虫のために法を説く。虫は法を聞いて死に、天に生まれた。

★2b.人間が死んで、多くの虫に化す。

『発心集』巻8−8  重病の老尼が「隣家の橘の実を食べたい」と望むが、隣人は一つも与えなかった。尼はこれを恨み、極楽往生の願いを捨てて、死後、多くの白い小虫と化す。隣人が橘の実を食べようとすると、実の袋ごとに五〜六分(一〜二センチ)の白い虫がいた。毎年このようであったので、隣人は橘の木を切ってしまった。

★2c.人間の死体に多くの蛆がわく。

蝶化身の話  蔵王山麓に、蝶を愛する女が住んでおり、いつも山に蝶を追って暮らしていた。月日が流れ、女は病んで、誰にも見取られずにあばら家で死んでいった。女の死体は放置され、多くの蛆がわき、それが何千という蝶になる。ある日、旅人が宿を求めてあばら家の戸を開けると、蝶の大群は一斉に外へ飛び立って行った。あとには女の黒髪と骨が残った。

*死者の魂が無数の毛虫になり、やがて多くの蝶になる→〔蝶〕2の『狗張子』(釈了意)巻5−5「宥快法師、柳岡孫四郎に愛着して毛虫となること」。 

★3.虫好きの人。

『堤中納言物語』「虫めづる姫君」  蝶を愛する姫君の住む近所に按察使(あぜち)大納言の姫君が住んでいた。彼女は、かまきり・かたつむりなど、さまざまな虫を採集し、とりわけ毛虫を気に入っていた。右馬佐(うまのすけ)が彼女に関心を持ち、かいま見をするが、「貴女にお似合いの人はなかなかいませんよ」という意味の歌を詠んで、帰って行った。

★4.虫の生態を見て、人間存在について考える。

『虫のいろいろ』(尾崎一雄)  四十八歳の「私」は、数年来の病気(=胃潰瘍)のため、一日の大半は横になっている。「私」は、蜘蛛や蚤や蜂など、いろいろな虫の生態に思いを巡らす。「私」が虫を見るように、どこからか「私」の一挙一動を見ている奴があったらどうだろう。宇宙における人間の位置とは?自由とは?偶然とは?・・・・。「私」は、額のしわに蝿の足をはさんで捕まえた。妻も子供たちも面白がって笑った。

 

*虫喰いによる文字→〔文字〕1

 

【無尽蔵】

★1a.食物・宝物などがいくらでも出てきて、尽きることがない。

『今昔物語集』巻16−15  観音を信仰する男が、竜王から金の餅を半分に割ったものをもらう。男は餅を少しずつ欠いて使うが、餅は割っても割ってもまたもとどおりになり、一生尽きることがなかった。

『捜神記』巻1−18  後漢の時代。薊子訓(けいしくん)は公卿の家々を訪問する時に、いつも酒一斗と乾肉一切れを土産代わりに持って行った。その酒と乾肉は、数百人が一日かかって飲み食いしても尽きることがなかった〔*→〔無尽蔵〕4aの『捜神記』巻1−21の左慈の話では、無尽蔵に見えて実はそうではなかった〕。

『俵藤太物語』(御伽草子)  秀郷は百足退治の礼として、龍女から巻絹・俵・赤銅の鍋を得た。巻絹は、衣裳に仕立てるべくいくら裁断しても尽きない。俵からは、米がどれだけでも出てくる。鍋の内には、思うままの食物が湧き出る。後に彼は「俵藤太」と言われるようになった。

『遠野物語』(柳田国男)63  三浦某の妻が小川で赤椀を拾い、ケセネギツ(米・稗などの穀物を入れる箱)の中に置いて、穀物を量る器とした。この椀で量り始めて以来、いつまでたっても穀物は尽きることなく、やがて三浦家は村一の金持ちになった→〔川〕5a

*大勢が猪を毎日食べても、食べ尽くせない→〔猪〕6の『ギュルヴィたぶらかし(ギュルヴィの惑わし)』(スノリ)第38章。 

*食物を大勢に与えても、尽きることがない→〔食物〕6

*掌の金貨が、取っても尽きない→〔掌〕1の『今昔物語集』巻2−10、2−14。

★1b.無限に出て来る食物の、とめ方を知らない。

『おいしいお粥』(グリム)KHM103  貧しい少女が、不思議なおばあさんから鍋をもらう。少女が「お鍋や、ぐつぐつ」と言うと、鍋は黍のお粥をこしらえ、「お鍋や、おしまい」と言うと、作るのをやめた。ある日、少女の留守に、母親が「お鍋や、ぐつぐつ」と言ってお粥を作る。とめ方を知らないので、お粥は鍋からあふれ、どんどん出て来る。少女が帰って来てお粥をとめるが、町中がお粥におおわれ、人々はお粥を食べて道を作った。

『海の水はなぜからい(塩挽き臼)』(昔話)  貧しい弟が森の小人たちから得た挽き臼は、右に回すと何でも望みの物を出すことができた。兄がその挽き臼を盗んで塩を出すが、止め方を知らなかったので、塩は無限に出てくる。挽き臼は海底に沈み、今も回り続けている(岩手県上閉伊郡)。

★2.酒をどれだけ飲んでも減らない。

『黄金伝説』162「聖女エリサベト」  聖女エリサベトが貧しい人々にビールを与えたが、甕の中のビールは少しも減らず、最初と同じだけの分量が残っていた。

『ギュルヴィたぶらかし(ギュルヴィの惑わし)(スノリ)第46〜47章  ウートガルザ=ロキの巨人国を訪れたトールは、角杯の酒を飲み干すように求められ、息の続く限り飲んだが、酒はほとんど減らなかった。二度目・三度目と試みて、ようやく酒がいくらか減ったので、トールは角杯を置いた。実は角杯の底は海に通じていたのだった。

★3.着物の布が限りなく出てくる。

『マハーバーラタ』第2巻「集会の巻」  ユディシュティラはドゥルヨーダナ方との賭けに負けて全てを失い、妻ドラウパディーも奪われる。ドゥルヨーダナの弟ドゥフシャーサナが、ドラウパディーの着物をはぎ取って裸にしようとする。新しい布が際限なく次から次へと現れ、ドラウパディーの足下に山となって積み重なる。

★4a.無限に物が湧き出ると思ったら、それはよそから取って来たのだった。

『今昔物語集』巻28−40  老人が、瓜売り達の食べた瓜の種を地面に植え、見るまに葉を繁らせ、たくさんの実をみのらせる。往来の人々にその瓜をふるまって、老人は去る。後で瓜売り達が見ると、籠に入れておいた瓜がすっかりなくなっていた〔*『捜神記』巻1−24に簡略な類話〕。

『捜神記』巻1−21  曹操が百人余りの役人を連れて、遊山に出かけた。神通力を持つ左慈が、徳利一本の酒と一切れの肉を持って行き、役人たちにふるまう。それは、百人が充分に飲み食いできるだけの量があった。曹操が不思議に思って調べると、酒屋の酒と肉がすっかりなくなっていた。

★4b.無限にお金が湧き出ると思ったら、それは未来から借りて来たのだった。

『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)「お金がわいて出た話」  のび太がドラえもんからもらった未来小切手帳は、金額を書いてサインすれば何でも買える。のび太は自由に金額を書き込み、いろいろ買い物をする。ドラえもんが「それは、将来手に入れるお金を先に使ってるんだ。君がサラリーマンになって四十三歳の夏にもらうボーナスの分まで、もう使ってしまった」と説明するのでのび太は驚き、買ったものを返しに行く。

*来世で授かる寿命を前借りすることによって、現世の寿命を延ばす→〔寿命〕2dの『閲微草堂筆記』「ラン陽消夏録」54「来世の寿命」。  

 

*いくらでも金貨が出てくる袋→〔交換〕2の『影をなくした男』(シャミッソー)。

*いくらでも米や金が出てくる袋→〔袋〕2

*無限のページを持つ本→〔本〕3の『砂の本』(ボルヘス)。

*無尽蔵とは逆に、器にいくら油を入れてもいっぱいにならない→〔墓〕5の『ギリシア奇談集』(アイリアノス)巻13−3。

*無尽蔵とは逆に、靴にいくら金貨を入れてもいっぱいにならない→〔靴(履・沓・鞋)〕1bの『土(ど)まんじゅう』(グリム)KHM195。

 

【胸騒ぎ】

★.親子の間に起こる精神感応。

『今昔物語集』巻15−39  「下山すべからず」との母の戒めによって、源信僧都は比叡山に籠もること九年、にわかに胸騒ぎして母のことが気がかりになり、山を下りる。道中、母の手紙を持った使者と出会う。重病の母は死期を悟り、源信との対面を請うていたのだった。

『焚火』(志賀直哉)  「自分」は妻やSさん・Kさんたちと、夜、湖の岸で焚火をする。その時、Kさんが昨冬の不思議な体験を語る。Kさんは東京からの帰り、深い雪をかき分けて夜の山越えをした。家までは遠く、Kさんは疲れて気持ちがぼんやりしてきた。ちょうどその時刻、家では母が、寝ていた家人を起こし、Kさんを迎えに行くように命じていた。母は、はっきりKさんの呼び声を聞いたらしかった。

『二十四孝』(御伽草子)「曾参」  曾参が山へ薪取りに出かけている時、彼の家を親友が訪れる。留守番をする母が、「曾参よ帰れ」と念じて自分の指を噛む。曾参は、にわかに胸騒ぎがしたために、急いで帰宅する。

『二十四孝』(御伽草子)「ユ黔婁」  ユ黔婁は官人として任地に赴くが、十日もせぬうち胸騒ぎがしたので官を捨てて帰り、父の病気を知る。医師の言に従って病父の糞をなめると、味わい良からず、ユ黔婁は父の死ぬことを悲しみ、身代わりになろうと北斗に祈る。

『日本霊異記』中−20  大和国の老母が、遠方に住む娘に関する凶夢を二度見たため、気がかりで僧に読経してもらう。娘は地方官の夫に従って官舎に住んでいたが、二人の子供が「七人の僧が屋根の上で読経している」と言うので、外に出る。直後に、娘のいた所の壁が倒れる〔*→〔鼠〕5の『太平広記』巻440所引『宣室志』・〔鷲〕2の『イソップ寓話集』296「農夫と助けられた鷲」に類似する。*→〔山〕6の『子不語』46「鳳凰山が崩れたこと」のように、美女のおかげで命拾いするという物語もある〕。

 

【夢遊病】

★1.婚約者が夢遊病であることがわかったので、結婚をとりやめる。

『不幸なる恋の話』(志賀直哉)  文科大学を卒業した翌年の春、「私」は京都の某家にしばらく滞在した。花嫁候補の豊子という娘を、見に行ったのだ。一週間ほどたった日のこと。深夜、廊下に足音がして、豊子の「何よ?一体何?それ何?」という、上ずった声が聞こえた。寝間着姿の豊子が私の部屋の障子を開け、焦点の定まらぬ眼で「私」を見た。そのうち豊子はハッと我に返り、障子を閉めて帰って行った〔*「私」は豊子との結婚を取りやめた〕。

★2.婚約者が夢遊病であることがわかったので、結婚する。

『夢遊病の娘(夢遊病の女)(ベルリーニ)  村の美女アミーナはエルヴィーノと婚約していたが、ある夜、彼女は眠ったまま外へ出て、伯爵ロドルフォの泊まっている宿へ行き、伯爵のベッドに寝てしまう。村人たちが騒ぎ、エルヴィーノは怒って「結婚はとりやめだ」と叫ぶ。伯爵は「アミーナは夢遊病だ」と見抜き、彼女の身の潔白を人々に説く。その時アミーナが現れ、皆の見ている中で、夢遊状態のまま狭い橋を渡り、エルヴィーノへの愛の思いを語る。エルヴィーノはアミーナの心を知り、目を覚ました彼女と抱き合う。

★3.事故死した人を見て、夢遊病者が「自分が殺した」と思い込む。

『夢遊病者の死』(江戸川乱歩)  夏の夜、彦太郎の父親が庭で月を見ていると、隣家の三階から、大きな花氷が頭上に落ちて来る。翌朝、彦太郎は父親の死体を発見する。彦太郎は夢遊病の持病があったので、「自分が父親を殺したのだ」と思い込む。彼は錯乱状態で、自転車に乗って逃げる。炎天下、街中を走り回った彦太郎は、倒れて死んでしまう。

★4.夢遊病者に、殺人・傷害の罪を着せる。

『人面瘡』(横溝正史)  松代は夢遊病者だった。ある夜、松代の妹・由紀子が、愛人・譲治を道連れに無理心中をはかる。由紀子は包丁で譲治を殺した後、自分の胸を刺して死にきれずにいるところへ、松代が夢遊状態で現れる。由紀子は以前から松代を憎んでいたので、血まみれの包丁を松代の手に握らせる。松代は「自分が譲治を殺し、由紀子を傷つけたのだ」と思い込む。

★5.AがBを夢遊病者に仕立て上げる。Aは殺人を犯し、その罪をBに着せる。 

『二廢人』(江戸川乱歩)  木村と井原は、同じ下宿屋に起居する学友だった。ある朝、木村は井原に「昨晩、君は僕を起こして議論をふっかけたね」と嘘を言う。井原は「自分は早くから床に入り、ぐっすり眠っていたはずだ。自分は夢遊病かもしれぬ」と、不安になる。さらに木村は、他の下宿人の持ち物を盗んで、井原の部屋に放り込んだりする。井原は「自分が無意識のうちに盗んだ」と思い込む。しばらくして木村は、下宿屋の老主人を殺す。皆は「夢遊病者の井原が犯人だ」と見なし、井原自身も「自分が殺したのだ」と思う。

★6.身体は眠っており、その人物と同じ姿をした魂が、身体から抜け出て外をさまよう。このような場合は、夢遊病と区別し難いことがある。

『閲微草堂筆記』「姑妄聴之」212「農婦の夢」  ある男が月夜に村外れで涼んでいた。隣家の若妻が遠くを歩いており、道に迷っているように見える。男が声をかけると、若妻は「私を連れて帰って下さい」と言う。しかし男が駆けつけた時、若妻の姿は消えていた。男は「幽霊を見た」と思い、家へ逃げ帰る。家の戸口に若妻がいて、「夢の中で野原へ出て道に迷いました。あなたに呼ばれて、目が覚めたのです」と言った。

*類話に、→〔夢〕17aの『三夢記』(白行簡)第1話がある。

 

*夢遊病者をあやつって、殺人を犯させる→〔催眠術〕3bの『カリガリ博士』(ウイーネ)。

 

 

 

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